
陶芸窯を選ぶには、いろんなことを総合的に考えることが必要です。
趣味でされるのかプロなのか?、お一人かグループか?、設置する場所は?
周りの環境は?、作られる作品は?(大きさは?、釉は?、土は?)
また、操作性や、耐久性、見た目(?)も大切です。
燃料代(焼成費)も気になります。
長く使うのですから、メンテナンスや、不安なときのアドバイスも必要になります。
何となく、ではなく、しっかり考えて、ぴったりのものを選びましょう。
燃料代だって、きちんと計算して比較したこと、ありますか?
陶芸窯のプロが、窯のいろんなことを解説します。
もちろん、相談にもおこたえします。
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「欲しい」と思ったときにもう、心の中にイメージしている大きさってあるんですよね。
でも、長く使うものです。未来も想像して、もう一度考えましょう。
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上扉、前扉、台車式、引き出し(スライド)式、、、どんなかたちがいいんだろう?
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プロパンガス(自然蒸発式と強制燃焼式があります)、都市ガス(強制燃焼式)、灯油に、電気、さあ、どれにしよう?
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窯だけじゃ、やきものは焼けないの?。あと、何が必要?あると便利なものは?
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あの人は、どんな窯を使ってるの? いくつか具体的に例を挙げて。
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「欲しい」と思ったときにもう、心の中にイメージしている大きさってあるんですよね。
でも、長く使うものです。未来も想像して、もう一度考えましょう。
上達すると、必ず一度は大きなものを作りたくなるのは、必然です。そんなときにもだいじょうぶな大きさですか? 「素焼き前になって気が付いたけど、実は窯に入らなかった (;。;) 」なんてことがないように…
でも、「大きなものは教室や知り合いにお願いして焼いてもらう」って方法もあります。
自分の趣味だったけれど、いつのまにか陶芸クラブ状態、陶芸は人気がありますから仲間も増えるかもしれません。可能性のあるひとには最初から声をかけておきましょうか?
小さ目の窯で作品の多いときは回数でカバーする 、っていっても限界があります。
窯詰め→焼成→冷却→窯だし→ 仕上げ・お掃除、1サイクルに4日間は必要です。
作陶する時間がなくなっちゃう…
窯がなかなかいっぱいにならないと、焼いた結果が見えるまでに期間がかかりすぎて待ちきれない。月1回以上は焼けるくらいの大きさがいいです。特に電気窯は月2回以上焼けば1回あたりの経費もガス窯と変わらなくなります。
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窯のかたちは、大きく分けると「前扉」と「上扉」があります。
前扉のなかには、底部分がレールに乗って出てくるものもあって、
「台車式」とか「シャトル式」と呼ばれています。
最近は、レールがないのに底部分が出てくる、「引き出し式」なんていうのも。
それぞれの特長を知って、自分にあったものを選びましょう。
1.比較的省スペース(機種によっては扉巻き上げようのウインチを廻すスペースがいるなど逆に広さが必要なことも。 )
2.窯詰めのとき、棚板が真上から見えるので作品同士の隙間が見やすいけれど、重い作品の出し入れは大変。
3.価格が安い。
4.開けた蓋の下に身体を入れるのは、(大丈夫とわかっていても)怖い…?
1.窯の前に扉を開けるスペースが必要。
2.作品の出し入れが比較的楽。
3.天井が丸く、炎が還りやすいので効率がよい。
1.窯の前に台車を引き出すスペースが必要。
2.作品の出し入れがもっとも楽。
1.窯の前に扉を開けるスペースが必要。
2.作品の出し入れがもっとも楽。車椅子で楽に作業が出来ます。
3.窯の前にレールが無く床がすっきり。車椅子や台車などの通行のじゃまになりません
●小さい窯(内容積0.1m^3(りゅうべい)位まで)は上扉、中型(0.3m^3位まで)は前扉、大きいもの(0.5m^3以上)は台車式、っていうかんじですね。
扉の開き方向や上扉の巻き上げ用ウインチの取付位置などは、工房のレイアウトにあわせて変更が出来るので相談しましょう。




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灯油・プロパンガス(自然蒸発式と強制燃焼式があります)・都市ガス(強制燃焼式)・電気、窯の燃料(熱源)はいろいろ。それぞれに特長があります。
さあ、どれにしよう?
煙突が出せない場所でもある程度の換気さえ出来れば、「電気」なら大丈夫。
お隣が近くて、絶対に煙はNG、だと「灯油」はちょとムリかも。
(煙はほぼ出ませんが、「絶対出ない」とはいいきれないのです、、、
いくら上手に操作しても、煙突出口には「スス」がつきます。
…「ってことは煙出てるんですよね?」といわれると、「出てます」というしかないんです)
もう少し待っていてください。煙の出ない灯油窯が開発されています。
(現在発売されている機種は燃費がかなり悪化しますが、今度のは大丈夫)
住宅集合地では、都市ガスはつらいことも。
夕ご飯の支度など、まわりのおうちが一度にたくさんガスを使う時間帯に、窯の分が足りなくなることがあります。
窯は「住宅」としての想定よりかなりたくさんのガスを使うのです。
表にしました。星の多い方が優秀、というふうに見てください。

ガス窯には、自然燃焼式と強制燃焼式とがあって、バーナーの構造や炎の燃え方が違います。
自然燃焼式は 、ガスが細い穴から出る勢いで空気(酸素)を取り込んで燃える方式。家庭にあるガス台と同じ構造のバーナーで、たき火のような優しい炎です。
強制燃焼式は、送風機から空気(酸素)を送って ガスと混ぜて燃やす方式。家庭にあるファンヒーターと似た構造のバーナーで、勢いのある炎です。
電気が高いのは、契約した電気容量に応じて払う基本料金が上がるから。
同じくらいの大きさの、10kwの電気窯と0.2m^3のガス、灯油の窯とで比べてみましょう。
まず、電気窯から。
10kwを単相200Vで契約すると基本料金が3,780円上がります。ひと月に素焼き1回本焼き2回焼成して、本焼き一回分が1,512円(※1)。
電力料金は約760円(※2)で合計約2,272円、となります。
プロパンガスだと本焼き一回のガス使用量は18kgで、約2600円。
都市ガスだと20m^3で約2300円。
灯油は20リットルで約1000円。
※数値は当社調べ。価格の変動や地域、契約条件による違いがあります
※ ガスの価格に基本料金は入っていません。
※1:素焼き一回分は半分の756円としました。
※2:時間帯別契約で夜間に焼成したとき。
昼間だと2,350円 、基本料金分と合わせると約3,862円
「電気は高い」というのが常識になっていますが、月2回・夜間電力で、という条件だとガスと変わらないことがわかりました。でも、窯を使わない月も基本料金は払うので、トータルで考えると高くなるんですよね。
家庭の工房に窯をおいた場合で比較をしました。工場や公共施設などでは条件が変わることがあります。
●ダイオキシン
でません。通常の陶芸用の材料(粘土、釉など)にダイオキシンの元になる物質が含まれていませんから、出ることはありません。
●NOX(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)
出ると考えられます。量は窯の焼き方(酸化、還元、炉内温度)によってかわります。
HCやCOは還元雰囲気を作るためにわざと発生させていますが、煙突などで外気に触れてほとんどが燃える(水・H2Oと二酸化炭素・CO2になる)と考えられます。
地球温暖化、気になりますよね。窯はたくさんの燃料を使いますが、少しでも少ない方がいいに決まってます。そこで、燃料費と同じく、0.2m^3くらいの窯で比べてみました。本焼き一回で、
灯油 63kg
低燃費灯油窯 53kg
プロパンガス 57kg
都市ガス 47kg
電気 42kg
くらいのCO2が出ることになります。
2段目の低燃費灯油窯は窯の構造を変えて燃料の消費が少なくてすむようにした窯です。
(いずれもカタログの燃料消費量から、環境省の排出係数を用いて当社で試算しました。電気については、この係数に発電で出る分が考慮されているようです。粘土や釉から出る量は含まれていません。)
ちょっと難しいお話。
個人的には電気窯ってもっとCO2が少ないと思っていました。火力発電の効率が悪いのと送電でのロスが大きいらしく、単位熱量あたりの排出量は、都市ガス:0.0513 kg-CO2/MJ、に対して電気:0.105 kg-CO2/MJ、とほぼ2倍もあります。ただ、陶芸窯の場合、電気窯はガス窯や灯油窯のように排気を外に捨てないので効率がよく、その分でかろうじて排出量が少ない、って感じでしょうか…。ところで、電気って、使用量の少ない夜間は火力発電を減らして全発電量を少なくすることが知られています。ってことは夜間は火力発電の割合が小さくなる分、排出係数も小さくなるはずです。CO2の少ない焼成のためには、電気窯は夜間に使用した方が良い、ということですね。23時から7時(時間別料金が安くなる時間帯)に一番電気を使う温度帯(高温部分)がくるようにするのがいいでしょう。 地球環境とお財布のために。
で、結局。
楽ちん派さん・環境派さん は 電気窯自動制御。
楽しみ派さん・経済派さん は 灯油窯。
トータルバランス派さん はガス。
…っていうことでしょうか。
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窯だけじゃちょっと不十分。やきものを焼くために、あと、何が必要?
必需品です。
電気窯(自動制御装置)にはついています。
灯油・ガスの窯にはセットになっているものもあります。
窯の大きさに合わせて熱電対(温度を測る棒)の寸法や本数を決めましょう。
壁の厚みによって、壁厚65から115mmなら熱電対は300から350mm、
180mmで400mm、230mmで450mmが必要です。本数は通常1本で十分ですが、
大型の窯やガスの自然蒸発式は上下2カ所で測って温度差を管理することがあります。
温度計用の電源も確保して。
窯に標準でついている棚板は3段から4段分。お皿など、背の低いものをたくさん詰めるにはもう少し必要になることがあります。予備も含めて余裕も持ってそろえておきたいですね。
同じく支柱。標準では30mmから60、90、120、150mmが3本ずつ、くらいです。寸法はL型のものだと、30mmきざみで300mmまであります。自分の作品にあわせてそろえましょう。短いものは15mmきざみでそろいます。以外によく使うのが45mmというサイズ。お皿の縁をちょっともちあげると、30mmだとつらいんです。あとは、サイコロ支柱。底敷きの棚板に使ったり、支柱と組み合わせて高さを調節したり。結構いい仕事をしてくれます。
不注意などで割れてしまった棚板は、いっそ小さくして支柱の補助に使いましょう。あと1cm、って、よくあるんですよね。
アルミナコーチングもお忘れなく。
灯油タンクは窯から2mくらい離しておけば室内でもかまいません。バーナーより高いところは避けましょう。給油のことも考えてレイアウトを。
プロパンガスのボンベは室外に場所を設けましょう。ボンベの設置や配管はガス屋さんがやってくれます。窯の機種によっては3本、6本、などたくさん並べることもあります。
窯場の熱気を外に出すために換気扇を。部屋の一番高いところにつけましょう。できれば熱に負けないよう金属製のもので。
見落としがちなのが吸気口。換気扇で出したぶんは入れないと。ガスの自然蒸発式の場合はバーナーから離れた場所に。突風でバーナーの火が消えることがあります。
窯の火を止めてからも 炉内から熱は出続けます。窯が冷めるまで換気扇は廻しておかないと。
タイマーが付いていると便利。
窯の近くに棚があると何かと便利です。棚には温度計、棚板・支柱、窯詰め待ちの作品、窯出しした作品、時計、いろんなものが入ります。
重いものがたくさんあります。頑丈にできていると頼もしいですね。
焼成の様子を記録しておきましょう。窯詰めした作品、予定の焼成カーブ、実際の温度、燃料の量や送風量、ダンパーのしめ具合、など、内容は盛りだくさんです。綴じて保存すればちょっとした歴史になります。
見本はこちら。
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あの人は、どんな窯を使ってるの? いくつか具体的に例を挙げて紹介しましょう。
「これは、私!」 っていうのはありますか?
「好き放題な作品をつくるには、やっぱり窯が欲しいね」って陶芸教室で知り合った5人の仲間と共同出資します。窯たきも交代で楽しみながらやろうと思います。
RT-25FP ガス自然蒸発式 0.25m3
趣味の5人グループなら十分な大きさ。
焼成操作がわかりやすく、「炎」で焼く実感を味わえます。
煙の心配はありませんから住宅地でも大丈夫。

前に買った100Vの電気窯は手軽で気に入ってるんですが、さすがに小さいです。
田舎の知人が、納屋を貸してくれるので、思い切った大きな作品を作ってみたいです。。
RT-20F 灯油陶芸窯 0.2m^3
棚板が400×450mmと大きいので水盤や壷など大きなものも余裕で入ります。
灯油だと、配管などの設備工事がいらないので借りた建物でも安心です。
「焼く」工程も楽しんでください。
煙突は焼く時だけ窓から外に出すようにもできます。

郊外の住宅地です。小学生の息子が信楽で陶芸体験をしてきました。
すごく楽しかったらしく、うちでもやりたいといいます。
私も美大時代にやったのを思い出して、いっしょに作陶を楽しもうかしら。
DMT-01 電気窯 100V 1.5kw
電気工事の必要がなく、100Vの家庭線で使用できます。
温度設定が自由に細かく設定できるので分厚くなりがちなお子さんの作品も安心して焼成できます。
外壁の表面温度を抑えた安全設計。扉もキーロックが出来ます。
炉内は270×270×300mm。はじめるには十分な大きさ。

磁器で手作りの食器をつくります。工房の入り口幅が120cmしかありません。
RT-70SWP プロパンガス自然蒸発式 0.7m3
磁器には、炎が安定していて不純物が付きにくいガス自然蒸発式が最適です。
日常の窯詰め作業を考えると、台車式も贅沢ではありません。
壁厚が180mmあって保温性がよく、作品に気品が出ます。
入り口の狭いところでも、「現場築炉」します。
(外枠をパネルで持ち込んで組立て、現場でレンガを積みます)

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