│ 窯の選び方 │ はにわの作り方 │

石膏型のつくり

石膏で型を作ると、同じ大きさの物が簡単にそろえられます。また、タタラを使うと肉厚が薄い作品の成形が簡単だったり、厚みがきれいにそろったり、と作品の幅も広がります。今回はいろいろな用途に使い勝手のある、半球型の石膏型を作ってみました。「内型」と呼ばれる、作品の内側にあてるタイプの型です。

始める前に少し注意事項です。
●石膏の取り扱いにはマスク・保護メガネなどの保護具をして、十分注意して作業してください。吸い込んだり、粘膜に触れたりすると腫れやただれの原因になることがあります。また、画像では石膏に直接素手で触れていますが、肌が弱い方は荒れることがありますので注意してください。
●容器や道具類は掃除を忘れずに。使ったあとすぐ、固まる前にやりましょう。流しに流すと詰まりますのでお気をつけて。バケツで洗って濾し取るのがお薦めです。鉄製の道具には錆止めをお忘れなく。
●石膏の粉やカケラなどが作陶用の粘土や釉に混ざらないようにしてください。焼成時に割れる、釉が流れる、色が出ない、などのトラブルのもとになります。

さて、石膏と水の量です。必要量を計算して、用意します。
今回使用したのは、サンエス石膏の特級(緑)で、用意する量は、必要量1リットルにつき、石膏1kg + 水630cc です。
今回は直径17cmの半球で、((4/3)×3.14×(17/2)^3)÷2 = 約1286cc。
球の体積を求める公式、覚えてました?(^ ^)v 最後の÷2は半球だから半分に、です。
中に入れるスペーサー分が、 直径8.5cmの半球で、((4/3)×3.14×(17/2)^3)÷2 = 約161cc 。
必要量は、引き算して約1125cc(1.125リットル)なので、
容器などにくっつく分も含めて1.2 リットルとしましょう。用意する量は、
石膏1.2kg + 水756cc(756g) になります。
これを測っておきます。
水は清水(石膏や塩分などが含まれていない物) で、なるべく冷たい方が強い石膏型になります。


型を作るために使った道具類を紹介しましょう。
 ●発泡スチロール製半球
    (これの内側を使います)
 ●以前作った石膏型
   (内側を凹ませるスペーサーとして使います。)
 ●発泡スチロール製半球用の台(転がらないように)
 ●あと、写ってませんが、石膏を入れる容器、撹拌用の棒、
 はかり、マスク、保護メガネ、ゴム手袋など。

1. ここからは時間との戦いです。
用意した石膏を水の上から振り入れます。
少しずつ、ぱらぱら、と。
2. 全部入れたら手で容器をたたいて沈めます。
ここまで約2分。
3. 手で撹拌します。固まりが残らないように丁寧に、でもなるべく手の温度が移らないように手早く。
ここまで約3分。
4. 固まりが無くなったら棒などで撹拌します。
100回くらい、空気が入らないように。
だんだんトロトロになってきます。
ここまで約5分。
5. 型になる発泡スチロールの半球を据えて、中に石膏を流し入れます。ここでも空気が入らないようにやさしく。
ここまで約6分。
6. 全量流し入れたら、画像のように水面(?)を揺らして中の空気(泡)が浮かんでくるように。液面を見ながら、水平も調節しておきましょう。
ここまで約8分。 9分くらいで固まり始めます。その前に、終えなければ。急げ〜!
7. 真ん中に石膏のスペーサーを入れます。動かないように棒で固定してあります。石膏同士だとくっつくので、スペーサーにはラップが巻いてあります。
この画像で約13分。 固まってます。

8. 横から見ると、こんな感じ。両側の段ボールは高さ調節のため。石膏の量もちょうどいい感じでいっぱいになりました。
このあと、熱を持ちだして硬化が始まります。
熱くなり始めたところで、スペーサーは抜いておきます。
発泡スチロールからはまだ出しません。発熱が終わって固くなってからでないと壊れそうだったから。

9. スペーサーを抜いたあと、上の面を仕上げました。
使っているのは金属のヘラです。 スペーサーを使わないときは6のあと、固まり始めたところで削っておく方が楽です。
10. 固まったら発泡スチロールから抜いて、1時間くらい養生 (乾燥しないようにして放置)したあと、いっきに乾燥させます。表面をきれいにしたらできあがり。
(ちょっと使ってからの画像なので粘土が付いてます…)
11. 作品例。タタラをのせて、均一に押さえて型になじませ、3つ足をつけました。まだ素焼き段階です。さて、どんな釉をかけましょ?



(株)藤原陶芸用品店

〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野1332-3
Tel : 0748-82-3265 Fax : 0748-82-3513