石膏型の作り方 (小さい型編)

石膏で型を作ると、同じ大きさの物が簡単にそろえられます。また、複雑な形状のものの量産も可能で、作品の幅も広がります。今回はマグネットにつける小さなものを作ってみました。片面だけを石膏型で成型する最も基本的な型です。

始める前に少し注意事項です。

●石膏の取り扱いにはマスク・保護メガネなどの保護具をして、十分注意して作業してください。吸い込んだり、粘膜に触れたりすると腫れやただれの原因になることがあります。また、石膏に直接素手で触れると、肌が弱い方は荒れることがありますので注意してください。
●容器や道具類は掃除を忘れずに。使ったあとすぐ、固まる前にやりましょう。流しに流すと詰まりますのでお気をつけて。バケツで洗って濾し取るのがお薦めです。鉄製の道具には錆止めをお忘れなく。
●石膏の粉やカケラなどが作陶用の粘土や釉に混ざらないようにしてください。焼成時に割れる、釉が流れる、色が出ない、などのトラブルのもとになります。


準備するもの(今回使ったもの)
石膏

ビニール袋
はかり
原型(粘土で作りました)
土台用粘土
外枠用樹脂板(クリアファイルを切ったもの)
粘土板(25cm角のベニヤ板)
霧吹き


さて、いよいよ石膏型作りです。

1.原型を用意します。
収縮する分大きめに。
型からはずれるように「抜きテーパー」をつけましょう。
作品を抜くときに引っかからないように、垂直方向に対し
て2度から5度くらい内側に角度をつけます。
竹串で突いた穴や爪の跡まで再現できるので、かなり作り
こんでおくこともできます。
逆に言うと、指紋やキズなど消しておくべきは消して、きれ
いな原型にしましょう。
原型作りには「特漉し」や「白信楽」など細かいつちがおす
すめですが、表面をきれいに仕上げられれば何でもかまいません。
油粘土でもOKです。

陶芸用粘土で原型を作る場合、石膏を流すときの固さは成型
時のままか、削りをする硬さまでくらいがいいです。
乾燥しているものは原型に向きません。(石膏を流すと水分
でカタチが崩れてしまいます)

土台に1.5cmくらいの厚みのタタラ(表面はきれいにならして
います)を用意します。
原型を土台にドベなどで固定して、外枠になる筒をかぶせます。
今回、外枠にクリアファイルを切って丸めたものを使いました。
適度な柔軟性があって大きさもうまく調整できて耐水性もあります。
はずすときも簡単で仕上がりもきれいになります。
もちろん、粘土で囲いを作ってもOKです。
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2.準備ができた原型の断面図です。
土台に原型をくっつけて、外枠をめり込ませています。
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3.石膏を測ります。
焼石膏1kgと水630ccで、1リットル(1000CC)の石膏ができます。
今回必要な石膏は、直径5cm×5cm×3.14÷4×高さ4cm=約80ccですので、
石膏80gを測ります。
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4.水を測ります。
80gの石膏に対して、水は、80×0.63で約50g
1g単位は霧吹きを使うとうまく足していけます。
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5.水の中に石膏を入れます。
入れた石膏に水が回るのを確認しながら少しずつ。
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6.攪拌します。
袋の外からもむように。
中身が均一になるまで混ぜます。
なるべく手の温度が移らない様に、
量が多いときは軍手などをした方がいいかも。
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7.空気抜き
テーブルなどに置いたり浮かせたりして中身をゆすって、
空気抜きをします。水面が揺れる程度に。
チャプチャプすると、空気が入って逆効果です。
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8.流す
袋の角を切って原型に石膏を流します。
ここまで、5.から約4分。通常8分から9分で、固まりだしますのでご注意。
この直前に、霧吹きで少量の水を原型に吹きかけると、
細かいところの気泡を防止できます。
流し終えたら、土台全体を揺らして空気抜きをします。
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9.完成!
固まるのを待って(できれば1時間くらいは養生しましょう)取外します。
角を面取りして仕上げます。
流したときに水面になっていた面は、気泡があってもろいので
一皮剥くくらいに削っておきます。
原型と土台との境目は石膏が入り込んでいることがあるので削っておきましょう。
このあと乾燥して、いよいよ作陶です。
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10.製作例(9.までの型とは別のものです)
ライオンの顔を作りました。
完成品は裏にマグネットを接着しています。接着には2液性のエポキシ系接着剤や、
多用途ポリマー系がおすすめです。 
陶土:白信楽
釉薬:オリジナルコバルトブルー
焼成:灯油窯酸化・1230℃ 
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